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【superarKinuta(スペラール砧)】
 
 
設計者 建築施工者 建築主
(株)空間研究所 不動建設(株) 渡辺商事(株)
 
■建築概要  
建設地 東京都世田谷区
RC造
共同住宅
延面積 1353.12m2
 
■審査評
 郊外駅から徒歩10分という閑静な住宅地に建つ賃貸共同住宅であり、周辺は次々に集合住宅が建ちならびつつある。敷地はもともと浴場のあった場所で商店がならんでいて人々が賑わいをみせていたので、それを取り戻したいというのが設計者の思いでもあった。
 50〜94m2の住宅が58戸あり、中庭を挟んで南と北の二棟で構成されている。各住戸はセミオーダーによるフリープランが可能で、住まい手によって自由に使えるものになっている。したがって住まいのほかにスモールビジネスとしての場にもなり、前出の賑わいに通じる使われ方が伺える。
 各棟の共用外部廊下と、直交する廊下が中庭を突抜け、南北に通りぬけていて、風通しもよく横丁の路地
  を思わせる様になっていて、ただ住戸を並べただけのものでない、生活感がでている空間をつくる意図を見せているようだ。ファサードはアルミパンチングの外壁と大きな開口部とからなっていて、一見して集合住宅と感じられない明るさがある。開口部には視線コントロールと外断熱の機能を持たせるための外付け電動ロールスクリーンがあって、各住戸の使い方による変化がそのままファサードの変化にあらわれている。これらの結果、外観の柔らかさをつくり、かなり大きめの建物であるにもかかわらず、周囲に威圧感を与えない暖かさを出しているようだ。意欲的な作品である。
(小林 志朗)