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【秩父市歴史文化伝承館】
 
 
設計者 建築施工者 建築主
(株)日本設計 高橋・丸山特定建設工事共同企業体 秩父市
 
■建築概要  
建設地 埼玉県秩父市
RC造、一部SRCS造
公民館・庁舎
延面積 6191.58m2
 
■審査評
 この施設は、日本三大曳山祭りのひとつ「秩父夜祭」の主要会場となる広場に面し、既存の本庁舎とは隣接し、公民館機能と第二庁舎機能を合わせ持つ複合施設である。
 ホールをはじめとした展示機能、生涯学習機能などを併せ持つ伝承館諸室を納めた低層部と、ガラススクリーンによる庁舎事務室の高層部は、中央を貫く2層のガレリアを共有し多様なニーズに柔軟に対応させていて巧みである。
 隣接する秩父市役所本庁舎・秩父宮記念市民会館との関係にも配慮し、近隣に対して高さを抑えている。夜祭のクライマックスを演出する広場に対しては、低層部ファサードに列柱廊を設けゆるやかなカーブで広場にやさしさを添え、さらにトチの木の列植で外部との関係性を密にしている。秩父セメントの本場でもあ
  り、既存本庁舎の仕上げを考慮した打ち放しコンクリートによる外観は素朴な明るさを表現していて好感が持てた。また高さ10m26本の現場打ちPCコンクリート列柱は美しく仕上がっており、精度が厳しく確保された結果としてのこだわりが感じられた。
 施設では、省エネルギーの手法として自然光を積極的に取り入れており、同時にセンサー付き照明器具で照度をコントロールしている。市庁舎事務室階の南面カーテンウォールには既製グレーチングによる日除けを設置し、屋上ではメッシュ籠を用いた外構緑化に積極的に取り組んでいて、成功している。
 随所にみられる細やかな設計の配慮や神経の届いた施工など、開所して2年あまり市民の評価も高く、優秀賞にふさわしい。(泉 晃子)