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【五日市K邸】
 
 
設計者 建築施工者 建築主
(株)エムエスフォーディー
なわけんジム
小松建設(株) 加藤 智宏
 
■建築概要  
建設地 東京都・あきる野市
RC造、一部木造
専用住宅
延面積 193.32m2
 
■審査評
 敷地は高さ20m程下った先が、秋川の河川敷に達する急峻な斜面地の上面に造成された分譲地南端に位置している。斜面の法肩ぎりぎりまで造成されているため、敷地内の2/3ほどの所に敷地を南北に分断する擁壁が設けられている。分譲業者は擁壁の内(北)側に住宅を、外(南)側には家庭菜園などをという構図を描いていたはずである。
 分譲業者の構図通りでは、建築主の要望する広さの建築を実現することは不可能であったろう。しかしそのために擁壁を再構築すれば、費用が掛かり過ぎることは目に見えている。そこでまず基礎底を既存L型擁壁の基礎版の上に乗せて、その結果必然的にできる半地下室全体を基礎としている。
 地上部の構造はRC造の床版と壁版から構成される
ラーメン構造と、木質構造との混合構造となっている
。作用する水平力はRC造部分で負担され、木造部分は常時鉛直荷重のみを支持する構造としている。こうすることで眺望の開ける南方向への視線を遮る構造材を最小限に抑えて、秋川側への心地良い視界を確保している。また既存擁壁からオーバーハングする形で張り出したスラブは、上部に行くに従って段階的にその寸法を大きくすることで、張り出し寸法の大きさを意識させず敷地の有効利用に成功している。
 敷地は、いわゆるハウスメーカーが尻ごみをする形状である。建設コストを抑えながらその敷地形状の持つ悪条件を巧みに克服して、周辺環境を活かした快適な住宅となっている。(金田 勝徳)