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【杉並区立天沼小学校】

杉並区立天沼小学校
設計者 建築施工者 建築主
(株)佐藤総合計画 興建社・大塚・矢島建設共同企業体 杉並区
■建築概要
建設地: 東京都 杉並区 用  途: 小学校
構  造: RC造+SRC造 延面積: 8,714m2
■審査評
 少子化の波は都会にも例外なく押し寄せ、その結果二つの小学校を統合して生まれた新しい小学校である。そこで展開されている建築計画は、単に新校舎の建設に留まらず、次世代の学校教育のあるべき姿に一石を投じる意欲が感じられる。
 例えば、エントランスホールは、学校に関わりのある人々の活動が一望にできる、見通しの良い大きな吹き抜け空間となっている。また少しずつずれながら配置された教室の南側はバルコニー、北側は広いオープンスペースに面していて、それぞれの教室が視覚的にも空間的にも繋がりが保たれている。敷地の狭さから設けざるを得なかった地下階は、そのことを感じさせないほど外気と光が十分に取り入れられて、開放的である。これ等は人に対する関心や思いやりを育み、教育の多様性をも育むことが意図されたものである。
 一方で住宅密集地にあることから、配置計画や建築の形状の決定に際しては、周辺環境に十分な配慮が払われている。また現段階で技術的に可能な限りの環境保全対策が施されていて、それ等の一つひとつの持つ意義が生徒たちへのメッセージとして、分かりやすく設置されている。
 以上のように、ここでは建築そのものが教材となり、生徒は日常的にこれ等のことを学び、感じとることができる場となっている。これらの様々な工夫を建築に具現化した努力は高く評価され、奨励賞にふさわしい作品と判断された。

(金田 勝徳)