八王子市片倉の緑深い環境に恵まれた日本文化大学のキャンパスの中央に学生の交流拠点となる為の施設として、図書館機能を中心としたメディアセンターが計画された。 既存の講義棟、カフェテリア、武道場等の校舎群に囲まれたキャンパス広場に面した湾曲した巨大なガラス壁面を構成する事で対面する位置にある既存のカフェテリア棟のガラス曲面と呼応してこの広場空間は柔らかな感性のコミュニケーションスペースとして実現する事ができた。 背後に広がる広大で濃密な緑が各々のガラス面に映えて適度なスケール感と共に学生が集い楽しむ事のできる中心広場となっている。 メディアセンターの建築は図書閲覧スペースを中心にゼミ室やPC教室、学生支援室機能が複合し、各室に必要なスペースを構成する壁面を逆台形の構造壁として利用し、フラットスラブとの組合せで全体を構築し、曲壁ガラスの先端に配した216中の鋼首柱でフラットスラブを支持している。 逆台形の壁によって閲覧スペースの開放感を確保し且つ均質でない玄関構成が達成され、各々のスペースに居心地の良さを感じさせる。大きなガラス面は堅ルーバー状の方立による直射日光の遮光効果LOW−Eガラスによる熱負荷の低減が計られ自然光を充分に利用した環境計画を実現している。 抑制された仕上げ材と色彩計画によって端整で上品な建築に仕上がり建築、構造、設備と施工技術が一体となった賞にふさわしい作品である。
(岡本 賢) |