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【桐蔭横浜大学 大学中央棟】

桐蔭横浜大学 大学中央棟
設計者 建築施工者 建築主
清水建設(株) 一級建築士事務所 清水建設(株) 横浜支店 (学法)桐蔭学園
■建築概要
建設地: 神奈川県横浜市 用  途: 大学
構  造: RC造 一部S造、PC造
■審査評

 「大学中央棟」という名が示す通り、この建築は大学キャンパスの中央に位置している。平面構成は比較的大きな4つ無柱空間を、幅の広い十字型の通路を介して田の字に配置するという、大胆ともいえる明解な構成となっている。この十字型の通路は人と風のメイン動線であり、その交点はほぼ大学キャンパスの中心点に位置している。

 無柱大空間を1階に配置して上階に講義室、研究室などの小部屋を配することで、構造的には一見不合理とも思えるが、1階を外部空間との強い繋がり持った開放的な空間とすることができている。この建築が大学全体のエントランスホールとして位置づけられていることもうなずける。

 構造は4つのブロックをそれぞれチューブ構造として、それらを十字型の通路で連結した構成となっている。各ブロックの床の構造は、現場打ちPCによる格子梁、両端部をRC、中央を鉄骨としたハイブリッド梁を用いた格子梁ないしは一方向梁と、空間の大きさと形状に応じてそれぞれに工夫がなされている。

 更にこの建築で注目すべきことは、打ち放しコンクリートによる躯体精度の良さとコンクリート素地のきれいさである。きれいに打たれたコンクリート面と壁、天井が寸分たがわず同一面に貼られているのを見ると、この建築が巨大な工芸品のようにすら見える。

 こうした周到な計画と施工から、この建築に込められた関係者の並々ならぬ意欲と、建築自体の力が感じられる。

(金田 勝徳)