建築士・建築士事務所とは? FIND AN ARCHITECT
建築士と建築士事務所について
設計という仕事は、あなたの目となり、耳となり、あなたの声となることです。住宅をはじめ、さまざまな建物をこれから建てようとする時。今の建物をこれからも使うための必要なメンテナンス、暮らしの変化に合わせた増改築等のリフォームを考える時。地震や火災、地域環境による心配事、建築工事の契約、工事後の不具合などでお悩みの時。どんな時も、私たち建築士事務所は皆さまの立場で行動し、皆さまの力となります。
建築士・建築士事務所の仕事と役割
建物において、建築士事務所は重要な役割を果たしています。そのポイントは以下が挙げられます。
建物において、建築士事務所は重要な役割を果たしています。そのポイントは以下が挙げられます。
イメージをかたちにする
建築士の仕事をひと言でいえば、「建物のイメージをかたちにする」ことです。家やビルを建てるときは、それがどんな建物になるかを正確に示した設計図(設計図書・せっけいとしょ)が必要になり、建設会社はその設計図に基づき、建物の建築を行います。また、建築士には「工事を監理する」という重要な仕事もあります。
考え方を設計図で表現する
住宅、店舗、オフィスビルには、それぞれに建築主の思いがあります。その思いを具現化するのに必要な「建物の考え方を設計図で表現する」ことも、建築士の役割です。建築物の設計では、建物外観や内装のデザイン、室の配置、間取りなど意匠的な部分ばかりに目がいきがちですが、法律や構造、防災などさまざまな要素を考慮し、安全や健康への配慮も必要です。
建築士の仕事は、設計・工事監理以外にもさまざまな業務がある
建築士は、設計、工事監理以外にも、下記のようなさまざまな業務を行うことも大切な役割です。
- 建築工事契約に関する事務
- 建築工事の指導監督
- 建築物に関する調査
- 建築物の建築に関する法令若しくは条例の規定に基づく手続の代理
建築士事務所の役割
建築士として仕事をするためには、都道府県知事が認める事務所登録を行って開業するか、登録された建築士事務所に所属していなければなりません。東京都の場合は、当協会が建築士事務所登録の窓口を行っており、登録された事務所以外で建築士として仕事をすることはできません。以上の予備知識を前提に建築士事務所の特色や役割をご紹介していきましょう。
建築士事務所は建物を設計し、施工業者へ指導・監理を行う
建築主の意向に沿って建物を設計し、工事業者が指定通りに施工するよう指導・監理を行う建築士による組織が建築士事務所です。
建築主の代理人として権利を守り、良質な建築物を建てる
建築士事務所の役割は、建築主の立場に立って専門家として建築主の権利を守り、良質な建築物を建てることです。その建築主に代わり、建築主の希望を専門家としてアドバイスし、建築主に代わって施工業者に交渉・要求していくのが建築士事務所の役割です。いわば、建築士事務所は建築主の代理人と言うことができます。
建物を設計できるのは、建築士資格を持つ建築士だけ
報酬を得て設計業務が行えるのは、登録を受けた建築士事務所だけ
一定の規模以上の(あるいは特定の用途の)建物の設計をするには、国家試験に合格して免許を受けた建築士だけが業務を行うことができます。建築士の資格は「建築士法」に定められており、設計できる建築物の範囲を決めて、「1級建築士」「2級建築士」「木造建築士」に区別されています。例えば、学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場、百貨店など多くの人々が集まる建物や、一定以上の規模の建物は1級建築士しか設計業務をすることはできません。
また、「建築士法」には、他人の求めに応じ報酬を得て、建築設計業務を行うためには、建築士事務所として登録を受けなければならないと定められています。例えば、以下の業務が該当します。
- 設計
- 工事監理
- 建築工事の指導監督
- 建築物に関する調査または建築物の建築に関する法令または条例の規定に基づく手続の代理、確認申請
設計料の目安は? 法律に基づいた算定方法
新築住宅を検討中の個人の方や、ビルや施設を検討中の一般企業・団体の方にとって、建築士の設計料がいくらかかるのか、相場はどれくらかをご存じの方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
建築士事務所の業務報酬は、建築士法という法律に基づいて(同法第25条)、設計料の算定基準が定められています。そこで、建築士事務所では、令和6年国土交通省告示第8号に準拠する『略算方法』という方法で、設計料(業務報酬)を計算します。
設計料の基準がわかる「略算方法」による算出例
建築主から建築士事務所に支払われる設計料を決める「略算方法」は、下の計算式で算出します。算出された設計料は、業務内容は「告示第8号別添一」という資料に書かれた全ての業務を行うことを前提としたものです。但し、依頼の条件や状況によっては、業務の一部を省略できる場合もあります。建築物の条件ごとに示した算出例を紹介しますので、参考にしてみてください。
- 「略算方法」による計算式
- 「略算方法」による設計料の例
-
用途・構造規模
専用住宅・木造2階建30坪(100m2)E区分技術者による必要業務時間
300時間条件
建物類別:別表第十五(その他の戸建住宅)
国交省技術者区分「技師C」の時間額 人件費 (例) 4,800円/時間
特別経費(R):0円
経費(E):1.1P
技術料(F):0.5P
-
直接人件費(P)
144万円
-
特別経費(R)
0円
-
諸経費(E)
158万円
-
技術料(F)
72万円
-
報酬 (設計料)
374万円
-
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用途・構造規模
専用住宅・鉄筋コンクリート造
3階建45坪(150m2)E区分技術者による必要業務時間
727時間条件
建物類別:別表第十三
(詳細設計及び構造計算を必要とするもの)国交省技術者区分「技師C」の時間額 人件費 (例)4,800円/時間
特別経費(R):0円
経費(E):1.1P
技術料(F):0.5P
-
直接人件費(P)
349万円
-
特別経費(R)
0円
-
諸経費(E)
384万円
-
技術料(F)
174万円
-
報酬 (設計料)
907万円
-
-
用途・構造規模
共同住宅・鉄骨造5階建150坪(500m2)E区分技術者による必要業務時間
1,485時間条件
建物類別:別表第六
国交省技術者区分「技師C」の時間額 人件費 (例)4,800円/時間
特別経費(R):0円
経費(E):1.1P
技術料(F):0.5P
-
直接人件費(P)
713万円
-
特別経費(R)
0円
-
諸経費(E)
784万円
-
技術料(F)
356万円
-
報酬 (設計料)
1,853万円
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用途・構造規模
事務所・鉄筋コンクリート造5階建600坪
(2,000m2)E区分技術者による必要業務時間
4,920時間条件
建物類別:別表第四(第1類)
国交省技術者区分「技師C」の時間額 人件費(例)4,800円/時間
特別経費(R):0円
経費(E):1.1P
技術料(F):0.5P
-
直接人件費(P)
2,362万円
-
特別経費(R)
0円
-
諸経費(E)
2,598万円
-
技術料(F)
1,180万円
-
報酬 (設計料)
6,140万円
-
条件
※告示第8号に基づき国交省技術者区分「技師C」に換算した標準業務人・時間数を「建物類別」とその床面積の合計によって求め、「時間額人件費」を乗じて算出したものを「直接人件費(P)」として上記の式で設計料を算出しています。
※ 但し、上記の金額に次のものは含まれていません。
1)特別経費(出張旅費等施主依頼に基ずく必要経費)は考慮していません。
2)建築確認手数料(公納金)
3)建築確認手続きに関する業務報酬
4)消費税
※右爛の<条件>に示された前提を基に算定した例であり、仕事の内容や各建築士事務所の条件により設計料は異なります。
※工事監理を含めています。
各費用の内訳をみる
直接人件費(P) | 設計など業務にたずさわる人の給与、諸手当、賞与、退職給与、法定保険料などの人件費の一時間当たりの額に、その業務にたずさわる延べ時間数を掛けた額の合計。 |
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特別経費(R) | 出張旅費や特許使用料、その他建築主から特別の依頼に基づいて必要となる費用の合計。 |
諸経費(E) | 印刷製本や複写費、交通費など建築物の設計業務に関して直接必要となる「直接経費」と、建築士事務所を管理運営していくのに必要な人件費や研究調査費、減価償却費や通信費などの「間接経費」の合計。 |
技術料(F) | その業務において発揮される技術力や創造力、業務経験や総合企画力、情報の蓄積などの対価として支払われるもの。 |
技術料(F) | 告示別添2の表による。第1類は「標準的なもの」、第2類は「複雑な設計などを必要とするもの」である。 一、物流施設 第1類:車庫、倉庫、立体駐車場等 第2類:立体倉庫、物流ターミナル等 二、生産施設 第1類:組立工場等 第2類:化学工場、薬品工場、食品工場、特殊設備を付帯する工場等 三、運動施設 第1類:体育館、武道館、スポーツジム等 第2類:屋内プール、スタジアム等 四、業務施設 第1類:事務所等 第2類:銀行、本社ビル、庁舎等 五、商業施設 第1類:店舗、料理店、スーパーマーケット等 第2類:百貨店、ショッピングセンター、ショールーム等 六、共同住宅 第1類:公営住宅、社宅、賃貸共同住宅、寄宿舎等 七、教育施設 第1類:幼稚園、小学校、中学校、高等学校等 八、専門的教育・研究施設 第1類:大学、専門学校等 第2類:大学(実験施設等を有するもの)、専門学校(実験施設等を有するもの)、 研究所等 九、宿泊施設 第1類:ホテル、旅館等 第2類:ホテル(宴会場等を有するもの)、保養所等 十、医療施設 第1類:病院、診療所等 第2類:総合病院等 十一、福祉・厚生施設 第1類:保育園、老人ホーム、老人保健 施設、リハビリセンター等 多機能福祉施設等 十二、文化・交流・公益施設 第1類:公民館、集会場、コミュニティセンター等 第2類:映画館、劇場、美術館、博物館、図書館、研修所、警察署、消防署等 十三、戸建住宅(詳細設計及び構造計算を必要とするもの) 十四、戸建住宅(詳細設計を必要とするもの) 十五、その他の戸建住宅 |
区分E技術者 | ・一級建築士取得後3年未満のもの ・二級建築士取得後5年以上8年未満の業務経験があるもの ・大学卒業後5年以上相当の能力のあるもの |
時間額人件費 | 設計など業務にたずさわる人の給与、諸手当、賞与、退職給与、法定保険料などの人件費の時間当たりの額。上記算定例では、一般社団法人日本建築士事務所連合会会誌「日時連」2018年11月号掲載「日事連 業務・技術委員会レポート 建築士事務所の技術者人件費等について」によった。 |