この建物は巣鴨信用金庫創立80月年記念事業として建てられた銀行店舗と事務センターを擁する事務所建築である。
地域の人々に溶け込んで事業を展開するこの信用金庫にあって、外装デザインこそがもっともクライアントの関心事であったことが予想される。そのことがネオクラシックとも言える外観に表れているのであろう。
外観を意識した各階の平面構成と、石、レンガ、打ち放しコンクリートから為る三層構成のファッサードは、マグサ、窓台をあしらった窓の端正なプロポーション、レンガによる出隅のディテール、石により構成
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された低層部のコーニス等細部にいたるまで気が配られている。又レンガ積みだから為し得る外断熱と少ない開口部とで高い省エネルギー率を得ている。
1,2階の営業店舗、地域の人々に開放される7階のインテリアーデザインは暖かさを感じ好感が持てるが外観に比ぺるとやや単調に思われる。
しかしガラスとアルミの多い最近の建物群にあってある種の格調高さと安心感、そして暖かみのある建物は、この地には珍しい並木道の緑にも艮く栄え街並みの修景にも貢献している。記念事業に対するクライアントの並々ならぬ思いと設計者の拘りが上手く作用したこの作品は受賞に値する。
(秋元 和雄) |