高密な都市型キャンパスの「建て替え」と、「環境重視建築」の教材のような建築群と外部空間が実現している。
これは複雑なキャンパス機能を継続させながらの、建て替えコンペの最優秀作品でもある。
コンペ時、高層棟案の多い中、低層建築群で水平方向のつながりを重視し、立体的交流空間を提案した設計者の意図が、第一期が完成した現在、十全に機能していることが見て取れる。人々の出会いや語らいの場が様々な視角でみることができ、楽しく、活気あるキャンパスライフを実感することができた。
一方、「環境キャンパス」をテーマに、徹底した設備検討とリアリティのある独自の手法提案がちりばめられている。
27項目におよぶこれらの手法は「長寿命」「自然共生」「省エネルギー」「自然エネルギーの積極的利 |
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用」「自然採光」「省資源・循環型システム」「高効率で個室調節システムの設備系統」「総合的なエネルギー管理」などにまとめられている。
特筆すべきはこれらの検討が単に設備的効果にのみ向けられているのではなく、強化ガラスにサンドイッチされた太陽光電池セルと遮光のためのステンレス簾の配列など優れた意匠とも連動している点が多く見られる事である。二期工事、三期工事の完成により、豊かな緑の中庭を抱えた、より快適な都市型キャンパスの姿が予見できる。
21世紀は「環境の時代」と呼ばれている。このキャンパス計画が、悪化する都市環境における建築の、優れた解のひとつとして一般二類の最優秀賞さらに東京都知事賞に相応しい作品として評価したい。
(栗生 明) |