駿河台といえば、いくつもの大学が校舎をならべる学生の街である。その中で昭和初期の建築として、この地に歴史を刻んできた日大理工学部旧1号館の建替がこの建物である。旧1号館はネオクラシックの重厚な建築であるが、虚飾のない実用的な建築であった。大学はもとより、建築関係者にも親しまれて、解体は大変残念ではあるが、やむをえない。
キャンパスを囲い込むこと無く、校舎が直接に街に接している時、そのファサードは大学のありかたをそのままに表していることになる。新1号館ではガラスカーテンウォールによる透明性の高い、開放的なものとして、学生や教員が自由な雰囲気で交流しあう共用
空間が、学外にもひろげられた場となることをめざし |
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ているようです。このことは二層のエントランスロビーからビジターセンター、各階ロビー、カフェテリアへとつながる豊かな空間によって実現されている。
技術面では、トグル制震を利用した構造体、氷蓄熱や太陽光などの省エネルギー対策に加えて、
16m×43mの無柱空間にスケルトンインフィルを採用した、将来の多用な使用法に対応できることとしている。現在の最新の技術を駆使しているが、設計思想としては旧1号館のそれと変わるものではなく実用的な建築にしている。ボリュウムの割に外部空間にゆとりがないが、今後のキャンパス及び地域全体の計画で考慮されることを期待したい。レベルの高い建築で優秀賞に値する。(小林 志朗)
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