| 飯田橋界隈に建つ貸事務所ビルである。この規模のビルでは、設計者は（手の内にあるという感覚から）表層のみの様々な形態操作に走りがちで、それが街並みの雑然性に繋がっていくケースが多い。当ビルではデザイン要素を絞って端的に表現し、凛とした外観を現出して、周辺景観形成へ良い影響を及ぼすことが期待出来る建物としている。不整形な敷地形状に合せ、構造的合理性に裏打ちされた有効率の高い基準階プランとし、男女比に応じる事の出来るトイレ等、想定されるテナントの特性を良く考慮した事業性高いビルである。架構条件を逆に生かし、前面道路側を三角形状の上げ天井として、オフィスに開放感を提供するとと |
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もに、一本柱の象徴性を高めている。それがファサードのシャープな表現に展開し、内外のデザイン意図が上手く呼応している。ビル入り口が狭隘な隣接道路側であり、そのアプローチ空間と道路の関係性は大事であるが、設計者からの提案が実現しなかったのが惜しまれる。私道を挟んだ隣地が同じ建築主であると言うことなので今後の展開に期待したい。タイルの表面パターンからドアの小窓、ＥＶの押し釦までデザインモチーフを徹底して貫き通す設計担当者の強い思い入れが感じられた。
以上、高いデザイン完成度により、一般一類の最優秀作品に相応しいものと評価した。（北 泰幸） |
