この建物は、軽井沢の小高い丘の頂上付近に建つ会社オーナーの週末住宅である。
樹木の伐採を極力避けたいとの建主の意向を尊重し
、設計者はまず敷地約900坪の高低測量と樹種の調査を行った。その結果、斜面から浮いた人口地盤をプレストレス工法で造り、そこへ開放感のある建物を載せている。この地盤造りにより基礎の施工費用を節約できたという。また端部はスパンを延長して5mのキャンティレバーとし浮遊感を出す事に成功している。その脚部から斜面を上りエントランスへ至る際の表情の変化が楽しい。
建物は、周囲の雑木林の景観を生かすため開放感のある計画とし、リビングは天井までの開口としている
。自然とのふれあいをたいせつにテラスでの過ごし方を重視した結果、あえてキッチンを中心に置いたプラ |
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ンとし、テラスとダイニングへのサービスのしやすさを第一に考えている。建主のもう一つの要望はこの別荘にゲストを迎えた時、ゲストルームには散策等自由に行動できるように外から直接アプローチを配慮する事であった。大切なゲストへの何よりの心配りがプランに生かされている。
外壁は景観に合うカラマツ板堅羽目貼とし、内部床はチーク無垢材フローリング、構造は集成材の準ラーメンをそのまま表わし、シンプルな建具を開口いっぱいに収め、床埋め込み暖房方式は足元からのファン付きダクトヒーターでスリムに収められている。内外共に自然との係わりを大切にとのテーマが生かされた好感のもてる週末住宅でありゲストハウスである。(泉 晃子) |