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【城西大学鋸南セミナーハウス(1期)】
 
 
設計者 建築施工者 建築主
(株)久米設計 清水建設(株)千葉支店 学校法人城西大学
 
■建築概要  
建設地 千葉県鋸南町
S造、RC造、木造
大学・セミナーハウス
延面積 1713.12m2
 
■審査評
 城西大学は理事長ゆかりの地鋸南町に、個としての深い思いと大学の教育理念から、中学校跡地に大学の学生だけでなく、地域公開講座など地元の人々へ貢献する施設として鋸南セミナーハウスを計画した。敷地西側には勝山の漁港が見え、その先に東京湾の美しい眺望が広がっている。
 この風景を生かした配置計画として、共用棟と宿泊棟は東側に配置され、1階も高床デッキとし、2層にわたって遠景が楽しめる断面計画としている。平面プランも大きくゆったりと西南に開いた共用棟、少しずつ角度を変えて景観の変化を楽しむ宿泊棟、南に扇を開いたようなセミナー棟、裏山の斜面を利用して閉じた外部に開いたジャグジー棟など、ほとんど造成をせずに学校敷地を利用し、大きな風景から身近な自然まで、さまざまな変化を楽しむように自由な角度の展開を見せて楽しい。
   構造は自然と共存するような大断面集成材による木造を採用し、共用棟にあっては中央部を鋼管柱で支えられた門型フレームが大きく2層の空間を覆い、斜材がうきうきする気持ちを表現しているような外部柱が半外部空間を包み、内外の空間が自然に連続する、のびのびした空間が創られている。学生や地域の人々のセミナー活動が自然の中で自由な雰囲気でできる空間作りがなされ、なによりも設計チームの設計の楽しさ
はつらつとした気持ちが表れている作品として評価される。
 木造フレームの中の鉄骨の扱い、高齢者にとっては滑りそうな床材など、デザインや材料選定などにもうすこし肌理の細やかさがほしいところだが、優秀賞としてふさわしい作品となっている。(中村 勉)