昔あった大きな屋敷の跡地に、再び４００ｍ２の大きな専用住宅を建てる計画で、漸く東京にもこれ程の住宅が建てられる様になったかという感想をもった。周辺は開発された低層の閑静な住宅地で、北側には垳川が流れ、神明遊歩道の古い並木道に接する、恵まれた環境の中にある。寝室、和室、子供室を各々独立させ、それらをリビングダイニングで接続するという平面プランによって、大きく４つの棟を作り各々に屋根が連なる構成としている。各々の部屋は分節された庭に面して異なった雰囲気を作り、それに対応した仕上材やディテールによって落着いた空間を作っている。
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全体をつなぐリビングダイニングは、高い天井高の吹抜空間の中に２階のブリッジが浮かんで、住宅とは思えないダイナミックな展開を見せている。各々の屋根の形状は恣意的な形態を作り、壁と開口部との構成で軽やかなリズムを感じさせる。コンクリート躯体仕上げによる壁、屋根の一体構造は、防水や断熱の点で技術的には思い切った手法をとり、建主の了解の下での住宅でしかできない選択であろう。生活する住宅という概念から少し飛躍した、実験作であると思う。
（岡本 賢） |
