松戸市郊外、高台と谷とが入り組んだ下総台地の先端部にマブチモーターの本社は建てられている。
前庭にその土地の形状、特徴、歴史を継承し、起伏のある丘、せせらぎ、ビオガーデンを設置して、自然に任せる植栽としている。
本社棟新社屋はこの前庭の奥に配置され、グローバルの本社機能と、オフィスワークの一体化をめざして完成した。中央のアトリウムをはさんで1500m2の執務室が向き合い、フレキシビリティと見通しの良さを確保するため無柱の空間となっている、アトリウムは奥行きの深い執務空間に自然光を取り入れ、動線・視線を繋げる役目を果たしている。階段は踊り場を広くし、コミュニケーションの場として活きている。
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ファサードのカーテンウォール面は大胆且つ簡潔な印象のダブルスキンの強化ガラス、妻面はレンガを数種のデザイン張りとするなど透明と不透明のバランス、軽と重の対比が印象的であった。このレンガは内部にも使われ、木の色にも似て落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
構造は、免震、可動制震粘性ダンパー、無柱空間を可能にするためのプレキャスト・プレストレスト・コンクリートを採用、省エネルギーの手法としては、ダブルスキン内部に設置されたブラインドを総合的にコントロールする事で、一年中快適な執務環境の実現を可能にした。耐久性、メンテナンス性、将来の変化への対応など長寿命建築をめざし、地球環境にやさしい施設となった。(泉 晃子) |