信濃川に面した環境豊かな親水空間に移転新築された、地方テレビ局の新社屋である。デジタル化を視野に入れた放送局機能と視聴者に提供可能な様々なイベントスペースを創出し、『開かれた放送局』として見学者動線の充実など、地域開放局の新たなビジネスモデルを創造した建物である。また、スタジオなどの放送関連機能はボックス状に視覚化して、視聴者に提供可能な事業資源である制作スタジオやイベントホールなどをガラス越しにビジュアル化し、新たなビジネスプランを旨く作り出している。
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さらに、敷地周辺は防災安全を兼ねて人々が集い憩える場として構築された『やすらぎ堤』とデッキで良く連携し、24時間開放した自由通路とすることで新たなネットワークとして市民に開放されている。このデッキにより歩車分離が確保されると共に、イベント空間とアプローチ空間が自然に自立できている。放送局という特殊な機能を持つ建築物を手馴れた手法で、さり気なく機能的に設計されている。
(西倉 努) |