近年、急速に開発が進む芝浦ベイエリア地区の大規模超高層集合住宅である。土地利用転換誘導により、住宅地域としての魅力付けを積極的に行い、都市型住宅環境整備の起爆材となることを意図して計画されている。
道路を挟んだ2街区に渡る敷地で、そのままでは容積の違いが生じるところを、総合設計と一団地申請を適用し、完全にシンメトリーなツィンビルを実現している。その結果、当地区のランドマークの一部となり、この地ならではという敷地の特性を生かした建築となっている。
公開空地提供はもとより、隣地側の通り抜け通路の設置、1階に店舗を入居させる等の配慮を行い、まだまだ殺風景な景観が多いベイエリア地区の中で、ヒューマンな居住空間を作り出している。道路沿いの桜並木・シラカシ並木といった提案が、正に起爆材となって周辺地域に面的に広がり、当地区が真の都心定住空間
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として発展することを期待したい。
構造的にはRCラーメンの在来工法であるが、無骨なスケルトンを内側に取り込んで、繊細な白いグリッドフレームでファサードを構成し、ツィンビルとしての一体感あるフォルムを形成している。フレーム内のバルコニー腰壁を木調塗装のGRCパネルと透明ガラスとし、開放・遮蔽感をコントロールして、棟間の見合いを和らげている。こうした処理により、無機的か、さもなくは単なる色の塗り分けにとどまっている事が多い集合住宅の外観に、豊かな表情を与え都市景観的にも優れたものとしている。
また、施工中に一棟が投資運用会社に一括売却され、一方が分譲、他方が賃貸住宅となったにもかかわらず、ライトアップは共同で行なう等、運営面でも一体感の維持に腐心している点も高く評価したい。
(北 泰幸) |