この住宅は三鷹市の比較的小さな敷地が点在する密集住宅街に建っている。東西は隣家がほぼ全面、外壁を接して建ち、南側には3階建ての集合住宅が近接している。北側は幅員4mの私道で間口4mちょっとで奥行きが11m強の小さな敷地である。こんな、難しい条件の中で、夫婦2人のために90m2弱の住まいが計画されている。
また、建築主の希望で、様々な友人を招いてのパーティーなどを頻繁に開くため、近隣への騒音の防止や夜間の遮光のため、開口部を極力少なくする計画が条 |
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件となった。そんな中で、南側の建物越しにしか日照を確保できないという敷地条件をクリアーしながら、通風や採光をうまく取り入れて、そして開放感のある居住空間を設計者が『斜行する洞窟』と名付けた。南側上部サンルームから北側下部リビングへの斜めの空間は、見事に冬至の太陽が奥のリビングまで差し込み、しかも開放感がありプライバシーも確保された住空間となっている。嫌味の無い真摯な設計者の意図が汲み取れる秀作である。
(西倉 努) |