この施設は、羽村市のほぼ中央を南北に貫く「公民館通り」に面して建てられたホール施設(大ホール350席、小ホール250席)と学習・文化施設(学習室、創作室、音楽練習室、展示室、情報コーナー等)から成る、市の中心的な文化施設である。通りを挟んで建つ羽村市図書館とブリッジで繋がれて、立地的にも、市民利用上も、市民の文化活動・生涯学習にとって中心的な役割を果たしている。
「公民館通り」に対しては、列柱によるスケール感やまちなみの連続感を生み出しつつ、通り沿いに円形に繰りぬかれたパブリック・スペースをガラス張りとし、EVシャフトもシースルーとすることによって、センター内のアクティビティが、通りから見ることが出来る、開かれた雰囲気を生み出すことに成功している。また、地下のパブリック・スペースの室内環境・自然採光に配慮して設けられたサンクンガーデンは、段状の座席を備えており、通り沿いの開かれたイベント
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にも使用できる。
周囲には戸建住宅地が近接しているため、地下を有効利用して、建物のボリュームを押さえ、とりわけ高さが必要となる大ホールのフライ・タワーを南側に配置するなど、周辺環境への周到な配慮がなされている。また、住宅地から、ルーフテラスを巡って、生涯学習センターおよび図書館へと回遊できる、市民のための「みち」が作られており、施設の動線上の開放性と親しみ易さを高めている。
人口5万人代の市にとっては、規模の大きい施設にも思えるが、現地審査において、市民によく利用されている状況を確認することができ、市の中心的文化施設として、適切なプログラムと規模を備えていることを認識させられた。
以上の点が高く評価され、一般二類の優秀賞にふさわしい作品と判断された。(小林克弘) |