港区赤坂で旗竿敷地の奥に螺旋階段がファサードとなる、12世帯の長屋型賃貸集合住宅。
すべての住戸の入口が地上にある長屋と扱われ、2,3階の8戸はグラフィカルなガラス張りの螺旋階段室を上って住戸に入る。この大きなガラスで囲まれた空間は、個室から外へ出かける時のショーの舞台のようである。住戸ユニットは寝室部分を最小限にゾーニングしたワンルームであるが、外部のデッキ庭や広めのバルコニーが内部と一体化し、図面以上の広がりを見せている。
この建物のデザインには専門家とのコラボレーショ
|
|
ンの良さが表れている。グラフィックデザイナーによる赤、黒、白の色彩の鮮やかさと螺旋階段の壁面グラフィックの演出。照明デザイナーによる、階段室のライトアップ。ランドスケープデザイナーによる中央広場のシンボル樹と排水溝を兼ねたコンクリート舗装の砂利目地割り。これらのコラボが都会生活の舞台化に華やかさを与えて成功している。本体の建築はこのように周囲から見られる演出が十分されているのだが、内部から見る周囲の建物の裏壁が殺風景で都市の裏を思わせているのが残念である。
(中村 勉) |