この建物は新潟市の繁華街から少し離れた古い民家も残る街道筋にある。築25年の木造平屋の事務所をヘアーサロンに改装したプロジェクトで、これまで町並みを形成してきた既存の風景を尊重しながら違う建物を出現させることに成功している。
外装のデザインは安定した市街地を造るために、複雑な窓の配置は既存の配置に従いながらも変化をもたせて室内空間を外からいろいろな角度で巧みに見せている。それは継続性を意識しながら、そこに住む人々の見慣れているまちなみのリズムを壊さずに、リノベーションにより、どこか新しくスマートなまちなみの形成に寄与している。比較的良好な環境の古くからの
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住宅地に配慮した結果であろう。
室内は、ヘアーサロンには欠かせない鏡を巧みに配置して、独特の空間を演出している。商店と違い派手なディスプレイも無い室内を、客のいないときも閑散と見えないよう、自然の光と人工の照明により視覚的に活気を造る仕掛けとしている。それに静かな住宅街の通りにも活気を与えることになっている。
骨組みは既存の構造をそのまま活かし、改装によるデザインによって結果的に柱や梁の補強になったり、壁量を増やしたりすることにも寄与している。クライアントも満足している優れたリノベーションの作品である。(西倉 努) |