6万人の町民のために作られた複合スポーツ施設である。
緑溢れる田園風景に溶け込むように様々に分節化された屋根群はのどかな集落を思わせる。
一般的にはメインアリーナなどは腰高で威圧的になるものだが、中庭を中心にして計画された軒の低いロビー空間によってゆるやかに繋ぎあわされたサブアリーナ、武道場、トレーニング室で取り囲むといったスケール操作により親しみ易い造形となっている。
切り詰めた工費の中で、限定した材料選択や工法の
工夫、既製品サッシュ採用など経済性を追求しつつ、清新で品格のある空間が実現した。 |
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雨水利用、アースチューブ、太陽光、風力発電など自然エネルギー利用にも積極的に対応しているが、日本の伝統的しつらえに学び、深い軒により直射光を遮りつつ空調設備に頼らず自然通風を充分に確保できるようした配置計画、開口部の様々な工夫は特筆に値する。
「いつでも、どこでも、だれでも」というキーワードのもとに作られたこの複合施設は内部だけでなく、前面外部の多目的広場を含めそれぞれの身体能力や身体状況に応じて気軽に楽しく利用できる秀逸な公共施設になっている。(栗生 明) |