設計者 |
建築施工者 |
建築主 |
株式会社久米設計 |
戸田建設株式会社東京支店 |
学校法人東京音楽大学 |
■建築概要
建設地: |
東京都・豊島区 |
用 途: |
音楽大学 |
構 造: |
S造一部SRC造 |
延面積: |
9,687.30m2 |
■審査評
豊島区に位置する歴史ある私立の東京音楽大学の本館建て替えである。
閑静な住宅地の中で、大学敷地は公道を挟んで隣接する4つの敷地に分かれており、本館は、その中心に位置して、学内移動の際には、
通り抜け空間としても機能する必要があった。
本館内には、複数のホール、練習室、管理諸室等が納められている。
高さの制約があるため、ホールの断面形およびその積層に独特の工夫を凝らし、諸室を極めて効率的に納めることを達成した。
更に、中央には、吹き抜け空間を設け、本館内の移動のみならず、通り抜けの際にも、開放的な雰囲気を味わいながら、
快適な移動が可能な空間計画が実現できている。
外観は、変形した敷地に対応しつつ、全体のボリュームを減らす目的で、多面形となっているが、諸条件を考えれば、
合理的な解決策であろう。内外ともに、壁面は、鉄骨にプレキャスト板とガラス面のストライプが共通のモチーフとなっている。
防音上、その壁面を二重に巡らせている個所が多い。ホールであると、内外共に、とかく閉鎖的な雰囲気になりがちであるが、
この壁面によって、自然光を取り入れることも可能になっている。
内外に斜めの面が多いため、プレキャスト板の種類は、数えきれないほどになり、実現に際しては、多大な努力を要した建築である。
設計のみならず、施工においても、その努力には敬意を払いたい。
以上、この作品は、周辺環境に配慮しつつ、開放的なホール施設を極めて質の高い建築として作り上げている。これらの点が高く評価され、一般二類の最優秀賞および東京都知事賞にふさわしい作品と判断された。(小林克弘) |
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