八ヶ岳山麓の山林の中に建つ別荘建築である。
杜の家の名前の通り樹林の中に紛れ込むような縦ストライプの木製パネルを外壁にもちいて周辺の環境と一体化したたたずまいを見せている。
自然樹林に囲まれた環境をそのまま建築の中に延長させて樹林の中にたたずむ心地良さを居住空間の中に実現させた感覚と手法の適格さが光る。
やや高めのコンクリート基礎の上に建つ木造平屋建であるが、高めの基礎空間を利用して車庫や暖炉の為の薪の収納等に利用している。
構造は集成材壁柱不連続ラーメン構造と称し、105×600mmの偏平な米松集成材を90度回転させて市松状に配置させて水平力を負担させる架構によって正方形の平面型を構成し、
間仕切を全てオープンにして正に林の中で過ごしている様な居住空間を実現している。
床はレベルの変化によってタタミの部分、カーペットの部分と各々しつらえの変化を創出し場所性を演出している。
クライアントが収集した様々なアンティークな家具やアート・インテリア用品もさりげなく納まって違和感を感じさせない。
前庭にしつらえたアウトドアライフの為の装置と広いベランダの一体性がつくられていたら更に森の生活が活かされた様に思う。
クライアントと設計者の互いの思いを語り合いながらそれが昇華した最優秀賞にふさわしい佳品である。(岡本 賢)
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