設計者 |
建築施工者 |
建築主 |
株式会社村上晶子アトリエ |
株式会社竹中工務店 |
宗教法人カトリックイエズス会 |
■建築概要
建設地: |
東京都・千代田区 |
用 途: |
教会 |
構 造: |
S造一部RC造 |
延面積: |
5,166.13m2 |
■審査評
設計者は1999年献堂された聖イグナチオ教会を設計後独立した。
したがって教会空間の質を表現するテクスチュアには熟知しており、その点では危なげない設計がなされている。
しかし敷地と必要機能の配分計画については難しいプログラムであったと思う。
管区本部は中聖堂の南側に木造2階建てだったところに8階建ての新管区本部を計画した。
しかも中聖堂前の回廊の軸線が四谷の土手の桜を見せるように、
ここが閉じた閉鎖的な空間にならないように2層のゆったりしたピロティ空間であえて外部空間化し、自然との関係を保つことに成功している。
そのために構造を鉄骨とし、中央部1,2層は約17mのスパンの無柱空間としている。
この上部の3〜6階は7,8階のフィーレンディール梁から吊られている。
また教会の中庭を囲むバルコニーの緑はこの建物の中間階の中庭側テラスの植栽に連続され、教会全体の空間の質を継続している。
上部2層は修道院の空間で、修道院の原点にもどったような瀟洒な列柱に囲まれた中庭をブラザーたちの個室が囲んでいる。
中間階は管区本部と多目的利用の機能でフロアー全体を利用しているが、下層階は西側のイエズス会入口に対して、
東側には聖三木図書館を対のように配置し、独立的利用がしやすい関係をつくっている。
狭い敷地の中で、複雑な機能配分をしながら、それぞれの精神性をもった空間作り、
そして既存教会空間を尊重しながらあえて土手までの外部空間の連続を図り、
既存の鐘楼と建物とのバランスをどう保つかといった難しい解法へ自ら追い込む設計姿勢とこれをさりげなく解決する設計力を高く評価したい。(中村勉)
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