軽井沢の千ヶ滝地区の別荘地に建つ住宅である。
クライアントは東京に職場を持つ若い研究者夫妻と小さな子供1人の家族で、同じ軽井沢に建つこの設計者の前作を見て、この様な家に住みたいと思って設計を依頼したという理想的な関係から始まった。
北側に傾斜した温室風の大きなガラス屋根が特徴の住宅で、この設計者が永年取組んでいる鉄骨温室部材を使用したガラス建築の連作の1つである。
南面に傾斜する敷地に合わせた地形と一体化させる様な配置とし、南側外壁は、半透明の断熱材サンドイッチパネルで覆われた木造の居室空間で、
柔らかな光に溢れる書斎と寝室を構成している。
全面ガラスの開放的な温室空間はリビング・ダイニングとなり、必要に応じて断熱パーティションで温室と仕切られる。
住居全体が、ソーラーウォールや温風循環システムによるパッシヴソーラーハウスとして、
自然の中で樹間を吹き通る風と光と共に生活する心地良さを感じる。
一方で、冬季の厳しさが予想されるが、ユニークな建築の中で、
そのユニークさを楽しみながら生活していく若々しさを感じさせる作品となっている。
(岡本 賢) |