設計者 |
建築施工者 |
建築主 |
(株)竹中工務店東京
一級建築士事務所 |
(株)ナカノフドー建設 |
社会福祉法人 至誠学舎立川 |
■建築概要
建設地: |
東京都立川市 |
用 途: |
福祉施設 (児童福祉施設) |
構 造: |
RC造 |
延面積: |
1,609m2 |
■審査評
この建築は、交通量の多い甲州街道と自然環境に恵まれた多摩丘陵にはさまれた敷地に、既存の児童養護施設に加え、児童虐待に対処するため、被虐待児童の居住施設と地域交流施設、職員研修や家族支援施設などが組み込まれた日本で始めての複合型プログラムを実現するものとして計画されている。居住部分は子どものスケールに配慮した細部の巧みなデザインと肌触りの良い質感により、大人の愛情が不足している子どもたちに「我が家の安らぎ」を与えている。
この居住部分とダイレクトにつながり、また園庭や中庭からも直接アプローチできる2階の広々と展開する木デッキは、「大地のデッキ」と呼ばれ、都市環境と自然環境を結ぶ子どもたちの空中遊戯広場として魅力に溢れている。1階部分に積極的に街に開く透明な空間として地域交流施設と保育施設が配されているが、街角のショーケースのようにカラフルな子どもたちの壁画が楽しめる。寄付された使用済みの家具什器や扉などの再利用デザインが、全てを新たに誂えた一義的な空間とは異なる豊穣さを生み出していることも特筆される。地域ボランティアによる支援活動の場になるなど、地域社会との連携を念頭においた空間デザインは「子どもたちは地域社会で守り、育て、つなげる」といった思想に貫かれ、この地域の持っている多様なリソースを的確に把握し、反映させたものとして高く評価したい。 (栗生 明) |
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