設計者 |
建築施工者 |
建築主 |
(株)久米設計 |
戸田建設・京王建設
共同企業体 |
京王電鉄(株) |
■建築概要
建設地: |
東京都新宿区 |
用 途: |
共同住宅 |
構 造: |
RC造 |
延面積: |
9,845m2 |
■審査評
神田川沿いの公園緑地との関係性を重視した特色ある賃貸集合住宅である。桜並木の美しい季節の表情を引き込む中庭を設け、ロの字型に住棟を配している。川側に開口部を設けることにより、居住者が常に神田川緑地の存在を意識しながら暮らせるように計画され、無味乾燥で効率一辺倒になりがちな一般の賃貸住宅と一線を画した建築である。そのため敢えて容積率を最大限まで使い切らず、近年の賃貸住宅利用層の志向を読みきった建築主の事業企画も評価に値する。中庭を囲む四辺の各住棟は、EXP,Jで繋がれ構造的に独立させている。今回の震災にも被害がほとんど生じなかったということである。デザインコードとして縦長のフォルムを採用し、目隠しパネル、面格子、ルーバー等に展開し、中庭のパターンにも踏襲するなど一貫したデザインポリシーが貫かれている。
通風性等の環境的にも優れている住戸は、多くのバリエーションが用意され、稼働率も高く事業性も高いと思われる。特にエントランスの共用空間は、ガラススクリーン越しに中庭がまず目に入るように計画され、神田川との連続性、開放性をより際立たせ、建物の特色を居住者のみならず通り行く人にも印象付ける効果を果たしている。近隣の類型的なマンション群が建ち並ぶ中で、その秀逸な外観、形状は今後の地域環境の良好な再発展に寄与するものと考えられる。
(北 泰幸) |
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