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【木材会館】

木材会館
(写真:雁光社 野田東徳)
設計者 建築施工者 建築主
(株)日建設計 大成建設(株) 東京木材問屋協同組合
■建築概要
建設地: 東京都江東区 用  途: 事務所・集会所
構  造: SRC造 
一部S造
一部木造
(耐火検査法による)
延面積: 7,582m2
■審査評
 木材会館は、約400社からなる東京の木材問屋協同組合の会館として、建物自体が木材建築文化を発信する場と計画された。地上7階建ての建物が避難安全検証法、耐火検証法などを駆使し、木材の基本となる無垢材を用いて可能な限り木質空間を作るチャレンジをしている。広場に面する木質のファサードが特徴的であるが、水平材上部の腐朽に関する危惧は拭えないが、水平を基調としながらも中間に縦部材をリズミカルに挿入し、自然のもつ多様性と秩序を表現している。テラーニのカサデルファッショの端正さと多様性のファサードと通じるところも感じられた。この奥行きの深いテラスは日射遮蔽と日射導入、自然換気が計画され、執務室からの光と風のコミュニケーションの場となっている。執務室の天井面でも木質天井の上部に煙だまり空間を確保し、避難検証法によって十分な安全性を確保しながら無垢材が採用されている。最上階のホールは耐火検証法で木構造を可能とし、120o角材を伝統的な追掛大栓継手と白樫の木栓によりめり込みで力を伝え合う構法を開発し、25mの大スパンを作り上げている。構造的な力の表現としては、下部表面の付け材にもより、木造の力強さが感じられないのが残念である。それでもこの建築は、木材の市街地での活用、高層建築への活用など、チャレンジする姿勢が随所に見られ、今後の木質建築を作ろうとする建築主、設計者へのすばらしい贈り物として価値の高いものである。
(中村 勉)