江東区の埋立地に立地した生命保険会社の事務センターと研修宿泊所の複合施設である。そして、5500人が入居する大規模オフィス(4階から9階)と400室の宿泊施設(10階から12階)とが、共用ゾーン(1階から3階)には研修室と550席の大ホールや250席のレストランなどがある延べ床面積10万平米で一辺が100メートルの平面形の大規模建築である。 この設計者は、この地区で自社ビルをはじめとして、このプロジェクトを含めて5つの事務所ビルの計画をシリーズ化して検討し進めてきている。それぞれの敷地の形態や周辺環境の違いにより様々な検討を行ってきており、今回のプロジェクトでその集大成として完成させている。 事務所空間は均質でない連続性を演出するために、内外の吹き抜け空間を中心としてゆるやかで不均質な広さのスパイラルなスッキップフロアーとして揺らぎの空間を作り出している。上層階の宿泊部門は大規模な部屋数を中庭の中心に配置して、屋上緑化などで落ち着いた雰囲気を醸し出している。共用部は大空間でありながら、あまり規模感を感じさせずヒューマンスケールで構成している。そして、研修施設は合理的な集約とローコストオペレーションを実現し、研修室を共用会議室として利用するなど稼働率の向上を目指している。 大規模な複合の施設を見事に仕上げた秀作である。
(西倉 努) |