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【House_IM -箱と自在な内の家-】

House_IM -箱と自在な内の家-
設計者 建築施工者 建築主
宮原建築設計室 (有)安松託建 持田 涼子
■建築概要
建設地: 群馬県高崎市 用  途: 戸建住宅
構  造: 木造
■審査評

 高崎市の近郊住宅地の中で周辺の軒並に敢えて逆らって斜めに振った形でこの住宅は建てられている。一辺10M角で高さが4Mの箱が地上から50CM浮いたかたちで配置されていて、外壁は全面に左官鏝で雲のようなまだら模様を纏った壁で囲われ、上部にスリット状の高窓を配している以外に開口部はない。一見普通の住宅には見えずオフィスかスタジオの様にみえる。エキスパンドメタルで作られたスロープで導かれる玄関は壁に縦に切り込まれたスリットで木製の格子戸がしつらえられている。ロの字型の平面型は中央に中庭が設けられ充分な光が住居全体にいきわたっている。

 外周部の全面が壁であるにもかかわらず、この中庭からの光と外周の高窓からの採光によって一日中安定した光に満ち溢れ落ち着いた居室が成立している。93u程の平屋建て全体がワンルームとなり全ての居室は高さ1.9Mのパーティションで仕切られ上部は解放されている。将来の様々な住まい方に対応するために水回りだけが固定されていてその他は自由にプランを展開できるように構成されている。地盤から50CM立ち上がったコンクリートスラブの上に10M角の木造外壁から、中庭の4隅の4本の柱に架構を渡して無柱空間を実現した。中庭に向かって傾斜する天井には照明その他の付属物は一切設けていないシンプルな構成が全ての居室から中庭に向うような意識を感じさせる。一見オフィス空間を思わせる様な室内が端整に納められたディテールと様々な工夫によって落ち着いた日常生活を実現できる新しい発見となっている。

(岡本 賢)