男女共同参画の実現に向けて
働き方改革で多様な世代の建築士と建築設計事務所の活躍を協会が後押し、建築設計業界の男女共同参画の実現に向けて、当協会では委員会、ワーキングを設置、働き方改革や女性の活躍推進への取り組みを行っています。
働き方改革等の取り組みと
WG活動
これらの取り組みで重要なのは、従業員10人以下の中小設計事務所が会員の85%を占める当会において、時間外労働の是正や事業承継問題など、建築設計業界が抱えている、さまざまな課題を真摯に受け止め、業界全体で働きやすい職場環境やワークライフバランスの定着を図ることで、多様な建築士の活躍をバックアップすることにあります。
ライフステージに合わせたフレキシブルな働き方の事例研究、女性からみた建築士事務所運営をテーマとする懇談会の開催をはじめ、建築士の作業を効率化するさまざまなツールの普及、起業希望者の支援など、「働き方改革」や「女性の活躍推進」を主眼に入れた雇用環境支援を行い、多様な世代の活躍を後押ししてきています。
また、働き方改革のワーキング活動として、設計事務所の現状を踏まえ具体的な行動に移してもらうための情報展開と改革支援を行っています。長時間労働の是正やライフステージに対応した支援を核とした働き方改革は、設備や人材が豊富な大手組織事務所で進んでいる半面、中小事務所では取り組みづらい状況にあるのが現状です。そこで、さまざまな規模の会員事務所の取り組みの工夫を働き方改革推進レポートとして小冊子にまとめ配布しています。
(2021年4月より)
人材の安定確保と男女共同参画の
実現に向けて
一方、人材確保という面では、建築士の高齢化もこれからの課題となっています。
こうした中、私自身は、協会活動のかたわら大学の非常勤講師として後進指導にも当たっていますが、学生と同じ時間を共有する中で、若手の確保・育成のためには、建築士という仕事に対する魅力を伝え、知ってもらうことも重要だと考えています。住宅やオフィスなど建築設計は、日々の生活に密着していながら、文化や芸術といった分野もカバーしています。個人的には「地域に密着した魅力あるまちづくり」を担うのも設計事務所の業務領域だと思っています。
人材確保という課題解消のためには、若い世代に希望を持って仕事に励んでもらえる業界へと変わり、仕事の魅力をぜひ多くの方に知っていただきたいと考えています。
また、男女共同参画の推進は人材の安定確保の鍵です。建設業界といえば、男性社会というイメージがいまだに根強いですが、建築設計事務所に勤務する女性比率は、他の建設産業に比べる高いといえます。しかし、女性経営者・開設者の会員はまだわずかで、建築設計事務所運営者を中心に構成されている当協会では30人の理事が活動し、そのうち女性は3人ですので、女性の参画割合は10%と少なくもなく、男女がフラットな関係で活躍できる機会を実現するには課題もありますが、最近のセミナーやWGで女性委員の活動が活発で目立つようになってきており、女性の活躍の機会は徐々に増えてきています。経営者向けに実施している働き方の意識改革や会社運営を指南するセミナーなどを通じて有益な情報発信を行っています。
これらのWG活動は男女共同参画を目標に始まりましたが、不意打ちのような with コロナの新しい働き方は女性のみならず、男女共同の働き方へ向けた社会的な取り組みになりました。皆が働きやすい環境づくりへ活動が実を結ぶよう、着実に課題を解決し、多様な建築士が活躍する建築設計業界を目指したいと思います。
平成29年度より4年間で人材確保、雇用継続の事業を行ってきました。その結果は取組事例集として2冊の小冊子にまとめ配布しています。(2021年5月より)
多くの中小設計事務所にとって、人材確保や定着は、将来の経営にも影響する非常に大きな課題です。協会会員の設計事務所を支えていくことが協会の果たすべき役割です。
1977年日本大学理工学部建築学科卒。一級建築士事務所「横村隆子YHT環境設計」代表